相続した実家がゴミ屋敷だった。その膨大なゴミの山を片付け遺品を整理するための費用は一体誰がどのように負担することになるのでしょうか。この費用負担の問題は相続人である兄弟姉妹の間でしばしば深刻なトラブルの火種となります。原則として遺品整理やゴミ屋敷の片付けにかかる費用は「相続人全員」がその「法定相続分」に応じて負担する義務があります。例えば相続人が子供二人だけであればそれぞれ2分の1ずつ費用を負担するのが基本的な考え方です。この費用は故人が遺した預貯金などのプラスの遺産(相続財産)から支払うのが最も一般的です。まず相続財産の中から業者への支払いを済ませ残った財産を相続人全員で分割するという流れになります。しかし問題は故人にほとんど預貯金がなく片付け費用を賄うことができない場合です。この場合相続人たちが自分たちの自己資金から費用を持ち出しで支払わなければなりません。ここでトラブルが発生しやすくなります。「実家の近くに住んでいる長男が多く負担すべきだ」「親の面倒を一番見ていたのは私だ」といった感情的な対立が生まれ公平な費用負担について話し合いがまとまらなくなるのです。このようなトラブルを避けるためにはまず片付けを始める前に必ず相続人全員で話し合いの場を持ち費用負担について明確な合意を形成しておくことが何よりも重要です。そしてその合意内容を書面に残しておく(遺産分割協議書などに明記する)とより安心です。また業者を選ぶ際も一人が勝手に決めるのではなく複数の業者から相見積もりを取りその内容を相続人全員で共有し納得した上で依頼するというプロセスを踏むことが後の不平不満を防ぐことに繋がります。遺品整理は故人を見送るための大切な儀式です。お金の問題で家族の絆に亀裂が入ってしまうことほど悲しいことはありません。透明性の高い話し合いを心がけましょう。