不動産管理の視点からゴミ屋敷問題を考察すると、風呂場の放置がいかに建物の寿命を縮め、多額の損害を引き起こすかが浮き彫りになります。インタビューに応じたあるマンション管理会社の担当者は、ゴミ屋敷が原因で発生した下階への水漏れトラブルの悲惨さを語りました。風呂場が物置と化した部屋では、住人は往々にしてキッチンのシンクや、あるいは風呂場のわずかな隙間で用を足したり、無理やり水を使ったりすることがあります。しかし、ゴミが排水口を塞いでいることに気づかず、溢れた水が防水パンの容量を超え、長期間にわたって床下に浸透し続けます。ゴミの山があることで水漏れの初期段階に気づくことができず、下階の天井から水が垂れてきたときには、すでに建物の構造材が腐食し、広範囲にわたってカビが蔓延しているという最悪の事態に陥っています。この場合、修繕費用は数百万円に達することも珍しくなく、火災保険の適用が認められないケースも多いため、ゴミ屋敷の住人や所有者にとっては致命的な経済的打撃となります。また、湿気が常時こもることで風呂場周辺のクロスが剥がれ、シロアリが発生する温床にもなります。ゴミ屋敷の風呂場を放置することは、自らの資産を自らの手で破壊しているのと同じ行為です。特に集合住宅においては、一人の不衛生な生活が建物全体の衛生環境を悪化させ、資産価値を下落させる要因となるため、周囲の住民にとっても死活問題となります。清掃業者の介入によりゴミが撤去されたとしても、長年の湿気で傷んだ床や壁はリフォームが必要になることが多く、その費用もまた重くのしかかります。風呂場の機能を維持し、適切に換気を行うことは、建物を守るための基本中の基本です。ゴミが溜まり始めた初期の段階で専門家を呼び、水回りの点検を含めた清掃を行うことが、結果として最も安上がりで賢明な選択となります。風呂場という小さな空間の崩壊が、家全体、さらには人生の設計図までも狂わせてしまうという現実に、私たちはもっと危機感を持つべきなのです。