清掃業者として多くのゴミ屋敷に立ち会っていると、お客様から「どうしてこんなに高いのか」という質問をよく受けます。一般の家庭から出るゴミの収集とは異なり、ゴミ屋敷の清掃は、いわば「特殊な建設現場」のようなリスクと手間が伴う作業だからです。まず第一に、ゴミの分類の複雑さが挙げられます。ゴミ屋敷の中には、可燃ゴミ、不燃ゴミ、プラスチック、電化製品、さらにはスプレー缶やライター、液体、薬品、時には危険物が無秩序に混在しています。これらを法律に従って適正に処理するためには、一点ずつ手作業で仕分けなければなりません。この人件費が料金の大きな柱となります。第二に、作業環境の過酷さです。害虫が大量に発生していたり、悪臭が染み付いていたりする環境での作業は、防護服や専用のマスクを着用しなければならず、スタッフの肉体的・精神的な負担は非常に大きいものです。特に夏場の作業は数十分ごとに休憩を挟まなければ命に関わるため、予定よりも人員を増やさざるを得ないこともあります。第三に、近隣への徹底的な配慮です。ゴミ屋敷であるという事実を周囲に知られたくないというご要望が多く、作業中に出る騒音を抑えたり、中身が見えないように梱包して運び出したりといった細やかな配慮にも、相応の手間と時間がかかります。第四に、処分の出口戦略です。不法投棄は犯罪であり、私たちは正規の処分場へ運搬して料金を支払います。近年、この処分費用が全国的に高騰しており、業者の利益を削っても限界があるのが実情です。もし、相場より極端に安い料金を提示する業者がいたとしたら、それは分類を放棄しているか、不法投棄を行っている可能性を疑わなければなりません。私たちは単にゴミを運んでいるのではなく、お客様の人生が再開できるよう、責任を持って環境を整えています。その責任の重さと作業の困難さが、現在の料金体系に反映されているのだということを、ぜひ知っていただきたいと考えています。
ゴミ屋敷清掃が高額になる理由をプロの視点から解説する